一日の終わりにかならずやってくる「おねんね」の時間。おとうさん・おかあさんが子どもとふれあい、絆を深める大切な時間です。子どもが寝つかなくて困ったとき、どんな工夫をされていますか。
音楽を聴かせたり、絵本を読み聴かせるのもよいでしょう。けれども、一日のエネルギーがからだのなかに残っていたり、うれしいこと、悲しいこと、楽しいこと、怖いことなどで気持ちが興奮していたり、かたよった姿勢を長く続けたためにからだが歪んでいたりすると、子どもはなかなか寝つけません。
お子さんを「まねまねヨーガ」に誘ってみませんか。子どもと一緒にからだをまんべんなく動かして姿勢を調えると、呼吸が深くなります。充分に呼吸ができると、あたまもからだもリラックスして、安心して眠りに入ることができます。お昼寝前にも効果的です。
姿勢が良くなると、たくさんいいことがあります。
- ① 深い呼吸ができるので、こころが安定してきます。
- ② 快眠・快食・快便・快笑をうながし、ストレスからくる病気を防ぎます。
- ③ 集中力がつきます。
- ④ 根気、忍耐、ねばり強さがでてきます。
- ⑤「ムカツク、キレル、メソメソ、クヨクヨ」が少なくなります。
- ⑥ 思いやりのある行動がとれるようになります。
- ⑦ まわりの人に「すがすがしい」気持ちを与えます。
この絵本は、発育・発達の途上にある赤ちゃんや幼児はもちろん、こころとからだのバランスを崩しがちな思春期や青年期の方たち、日々忙しく働いて疲れているおとうさんやおかあさん、充実した老後を過ごしたい高齢者の方など、幅広い年齢のみなさんに活用いただけます。
- ① 心が穏やかになり、イライラや抑よくうつ鬱が減り、まわりの人や自分に寛容になれます。
- ② ストレスによる頭痛、腰痛、便秘、下痢、肩こり、皮膚病、鼻炎、呼吸疾患などを解消します。
- ③ からだの歪み、猫背、肥満、痩せすぎが解消され、健康的な体型が維持できます。
- ④ 血液循環や老廃物の排泄がよくなって、からだの内部がきれいになり、肌も美しくなります。
- ⑤ 加齢にともなう体力、記憶力、知覚(視力、聴力、嗅覚、味覚、皮膚感覚)の減退を遅らせ、
エレガントに歳を重ねることができます。
いま、私たちおとなは、子どもたちの「いのち」を「自然」のリズムで育てることが難しくなってしまいました。子どもたちは、便利で簡単で効率的なことが「よし」とされるおとな社会のリズムの中で、たくましく生活しています。
「放っておいても子は育つ」のかもしれません。けれども、子どもたちをよく見ていると、姿勢の悪い子、からだや顔が歪み、鼻がつまって口が開いたままの子、視力の悪い子や話を聴き取る力の弱い子、手先の不器用な子などが目につきます。こうしたからだの面だけでなく、すぐにかんしゃくをおこしたり、泣き出したり、暴力をふるったりする情緒の不安定な子、相手の気持ちを感じとるイメージ力の乏しい子など、こころの面で心配な子どもたちにもよく出会います。
現代は、おとなが意識して子どもの「いのち」を護り育まなければ「いのち」が人間として育たない時代、そしてまた、子どもたち自身が、「いのち」の力に気がついて、「いのち」を大切にするこころやからだのつかい方を身につけなければ、人間らしく生きることが難しい時代なのではないでしょうか。ヨーガとは「こころの働きを止滅すること」と古典が定義するように、あたまだけであれこれと考えず、「いのち」の声に耳をすませるプロセスそのものをさします。子どもにとっては「からだ・いき・こころ」というもっとも身近な「自然」に触れるあそびの時間になります。
ヨーガは原始感覚を呼び覚まし、脳を活性化し、姿勢や呼吸を整えて情緒を安定させます。子どもたちは楽しいヨーガあそびをとおして、自らの「いのち」が快適である状態がどのようなことかを知り、「いのち」の支えを感じ、「いのち」の力を信じることができるようになっていくでしょう。
子どもたちには一生を共にすごす自分自身の専門家になってもらいたいと思います。ヨーガで得られる感覚への「気づき」をとおして、自分の「いのち」の力に気づき、友だちの「いのち」の力にも共感できる、豊かでキレイなこころとからだをもったおとなに成長してくれることを願っています。
伊藤 華野 (2007年 初版より)