「京都 土の塾」は満20歳となった。この間、多くの市民が入塾し、時を過ごし、在籍している。 現代人の多くが馴染み難い、土の世界。これに自ら近づき、体感する。そのことが各人どう感じられ、何を残したのか。それを記したのが、この文集である。 1945年からの飢餓の時代、それに続く社会の各般にわたる激変を経て、経済大国、飽食日本、そして少子高齢化社会への沈潜、鬱屈。 2000年、戦後50数年のひたすらの歩み。それは反自然、離土時代への特化であり、人類一人勝ちを標榜するものだった。その世界に日本の、人類の未来はあるのか! 土の塾は、人と土(自然)とを密着させ、そこに生まれる事象=自然を世に問いかけるべく出発した。 そして今、コロナの時代。土の塾の世界は全く別世界、平穏である。共生の農時間。伸びやかな生命の世界が繰り広げられる。一人勝ち組の暴力は、たえず自然をくすぐりつづける。自然は時々くしゃみせざるを得ず、地球環境は若干不穏である。今、選ばれるべき選択肢は何か。 この文集は、「多様な生命の共生」に生命の躍動を見、美を発見している。イネも、キュウリも、ソバも、ススキもタンポポも、カラスもキジもシカもみな、生命輝いている。 生命輝かない人間も、自然と共生することで美を獲得するのではないか。 コロナ後は、美しい人間を選択することだ‼