社会と調査
京都通信社の本

社会と調査 第22
社会調査に携わる人のためのビッグデータ入門

表紙
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特集紹介

 「ビッグデータ」は「AI」と並んで近年の情報技術の発展を象徴する言葉である。ビッグデータに関する解説書をひもとけば,ビッグデータ分析の威力を鮮やかに印象づける事例が綺羅星のごとく並んでいる。しかし社会調査に携わる人(研究・実務で社会調査を実施し,そのデータを利用する人)にとって,ビッグデータは必ずしも身近な存在ではないかもしれない。ビッグデータに積極的に手を出さず,いままで通りの調査・分析を行うぶんにはビッグデータと関わり合うことはまずないからだ。それでは,社会調査とビッグデータの関係はどうなっているのだろう。社会調査を利用する研究領域において,ビッグデータはどのように役に立つのだろうか。

 そこで本特集では,「社会調査のことはある程度わかっているけど,ビッグデータのことはよくわからない」という読者を念頭に,ビッグデータとは何か,社会調査を利用する研究・実務領域においてビッグデータがどのように使えるのか・役に立つのかを,5名の専門家に解説していただいた。これまでの『社会と調査』の特集とはやや毛色の異なるテーマであるが,読者のお役にたてば幸いである。

神林博史「特集紹介」から抜粋

目次

巻頭言

「ビッグデータ」と「民主主義」
情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設・社会データ構造化センター センター長 吉野諒三

特集 社会調査に携わる人のためのビッグデータ入門

論文1. ビッグデータと社会調査
——特集「社会調査に携わる人のためのビッグデータ入門」について
神林博史
論文2. ビッグデータとは何か
笹原和俊
論文3. 社会学におけるビッグデータ分析の可能性
瀧川裕貴
論文4. データジャーナリズムの歩みと可能性
奥山晶二郎
論文5. ビッグデータによって変わる未来の公的統計
水野貴之
論文6. ビッグデータ分析の実践にむけて
榊 剛史

特別寄稿

ヨーロッパおよびドイツにおけるデータ保護規制のもとでの
科学的研究のための個人データの処理
Wolfgang Jagodzinski,真鍋一史訳

Refereed Paper

消費・文化としての嗜好品摂取
橋爪裕人

Research Report

社会調査実習におけるアクションリサーチの成果と課題
——島根県立大学の子育て支援調査から
齋藤曉子

調査の現場から

デモグラフィック要因だけでは分析できないシニアにおけるICT利活用の特性
水野一成

調査実習の事例報告

朝鮮学校の教育に学ぶ
伊地知紀子
飯能市における地域活性化に向けた取り組みに関する調査
——東洋大学社会学部における2016年度「社会調査および実習」事例報告
小山弘美

働く社会調査士

嗜好品という新たな分野を開拓する社会調査
橋爪裕人
システムサービスを通して社会に新しい価値を提供する
越前貴史

Commentary

コウホート分析の古今
——一般化線形混合モデルとしてのコウホートモデル
中村 隆

書評

石田 浩監修・編『教育とキャリア——格差の連鎖と若者 1』
石田 浩監修 佐藤 香 編『ライフデザインと希望——格差の連鎖と若者 3』
筒井淳也
杉野 勇著『入門・社会統計学——2ステップで基礎から[R で] 学ぶ』
大久保街亜
乾 彰夫・本田由紀・中村高康編
『危機のなかの若者たち——教育とキャリアに関する5年間の追跡調査』
宮本みち子
マーカス・バンクス著 石黒広昭監訳
『質的研究におけるビジュアルデータの使用——SAGE質的研究キット5』
山中速人

Column 調査の達人

内藤莞爾
——村落研究から末子相続研究へ
三浦典子
エミール・デュルケーム——
二次的資料による社会学の構築
江頭大蔵

Column 世界の調査/日本の調査

Future of Education and Skills 2030——
OECDが提案する2030年の教育
浅原寛子
子どもの生活と学びに関する親子調査
——Japanese Longitudinal Study of Children and Parents(JLSCP)
木村治生

Column 社会調査のあれこれ

自記式調査か, 他記式調査か——
高齢者「生きがい」調査からの研究ノート
山本 努
フィールドワーカーとしての学生
藤井和佐

私の3冊

フィールドワークのひろやかな視界——
かたよらず, こだらわず, とらわれず
谷 富夫

著者が語る社会調査テキスト

『質的調査法を学ぶ人のために』
古賀正義

2018年度 社会調査協会賞 受賞のことば

社会調査協会賞について
石田 浩
優秀研究活動賞
堀 有喜衣
『社会と調査』賞
高田佳輔
江口達也

執筆者紹介

吉野諒三
情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設・社会データ構造化センター センター長
(統計数理研究所 教授 兼任)
神林博史
東北学院大学教養学部 教授
笹原和俊
名古屋大学大学院情報学研究科講師
科学技術振興機構さきがけ研究者(兼任)
瀧川裕貴
東北大学災害科学国際研究所 助教
奥山晶二郎
朝日新聞withnews編集長
水野貴之
国立情報学研究所 准教授
榊 剛史
株式会社ホットリンク 開発本部R&D部 部長
Wolfgang Jagodzinski
ドイツ・ケルン大学 教授
真鍋一史
青山学院大学 教授
橋爪裕人
公益財団法人たばこ総合研究センター 研究員
齋藤曉子
島根県立大学総合政策学部 講師
水野一成
NTTドコモ モバイル社会研究所 研究員
伊地知紀子
大阪市立大学 教授
小山弘美
東洋学園大学人間科学部 専任講師
橋爪裕人
公益財団法人たばこ総合研究センター勤務
越前貴史
株式会社大和総研勤務
中村 隆
情報・システム研究機構 統計数理研究所 名誉教授
筒井淳也
立命館大学産業社会学部 教授
大久保街亜
専修大学人間科学部心理学科 教授
宮本みち子
放送大学 客員教授、千葉大学 名誉教授
佐藤郁哉
同志社大学商学部 教授
山中速人
関西学院大学総合政策学部メディア情報学科 教授
三浦典子
山口大学 名誉教授
江頭大蔵
広島大学大学院社会科学研究科 教授
浅原寛子
OECD(経済協力開発機構)教育・スキル局 政策アナリスト
木村治生
ベネッセ教育総合研究所 主席研究員
山本 努
熊本大学大学院人文社会科学研究部 教授
藤井和佐
岡山大学大学院社会文化科学研究科 教授
谷 富夫
甲南大学文学部 教授
古賀正義
立教大学社会学部 助教