WAKUWAKUときめきサイエンスシリーズ4
海は百面相
内容紹介
淡路敏之 「〈はじめに〉にかえて」から抜粋
総合研究型大学である京都大学では、科学の広い分野にわたって研究がなされている。本書は、そのなかで海に関係する研究分野の紹介を目的に出版するものである。
海は、「水惑星」といわれる地球のおおきな特徴の一つである。地球表面の3分の2を占めるこの広大な海についての理解には、多様な観点からのアプローチが必要である。たとえば、なぜ地球に海があるのか、このような問いに答えるには、太陽系や地球のはじまりにまでさかのぼって考える必要がある。
本書を通じて、読者のみなさんの海についてのイメージをさらに豊かにしていただけば幸いである。また、海とともに生きる人や生き物がどのように海を捉え、また良い関係をもって生きてゆくのか、海の未来について私どもと一緒にお考えいただくきっかけになれば幸いである。
第1部
海のおいたち
「桑田滄海」あるいは「滄海変じて桑田となる」という成語がある。青々とした海原が桑畑(陸地)になってしまうということで、世の中の移り変わりの激しいことの喩(たとえ)である。
地質現象から地球の歴史をふり返ると、まさにこの言葉のように、陸地と海はつねに形を変えてきた。たとえば、縄文時代には現在より数mも海水準が高く、貝塚が現在の海岸線よりもずいぶん内陸に分布していて、数千年のうちには海と陸の分布が変化することを、人類は体験してきた。直近の現象としては、東北の大震災の津波も、まさに眼前で起こってしまった桑田滄海である。
さらに時間スケールを大きくとってみよう。地質図とその解説書を開いてみたらよい。あるいは自分の目と足で、化石採集に出かけてみたらよい。すると、日本列島にはさまざまな時代の「海成層」が発達していることがわかる。日本列島はむしろ滄桑之変のくり返しによって成長してきたともいえる変動の地だ。「海」の痕跡は海成層に限ったことではない。一見すると「水」とは無関係の、岩石にも水の存在が不可欠なものがある。一例として「花崗岩」を考えてみよう。花崗岩は大陸地殻を構成する主要な岩石で、御影石の別名があり、墓石や、京都ならば寺社の庭園に欠かせない白川砂のもととなっているなど、私たちに身近な岩石である。
ところが花崗岩は、地球外の惑星には存在しない。花崗岩は石英・長石・黒雲母という3種類の鉱物からなる。これらのうち、石英と雲母は、いずれも地球ではごくありふれた鉱物なのであるが、太陽系では地球以外にはほとんど存在しないものである。
地球ではもっともありふれた岩石・鉱物が、太陽系を見まわすと、むしろきわめて珍奇な物質なのである。なぜそのような物質の偏りが地球では起こったのであろう?
そのカギを握るのが、「海」なのである。海(水)は物質を溶かしこみ、別の物質を醸す「るつぼ」ともなる。花崗岩とそれを構成する鉱物群は、太陽系を構成する一般的な鉱物の組み合わせから、液体の水の介在により、特異な〈進化〉を遂げたものであるのだ。
第1章では、「海」のある惑星・地球の、「海」なしには存在しない地球の特徴、「生命」と「惑星環境」の進化史を知ろう。
京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻地質学鉱物学分野 松岡廣繁
第2部
海のすがた
地球表面の約7割をおおう海の平均水深は約4km。人間一人の大きさとくらべて、海は数千倍も深く、1千万倍ものひろがりをもつ。圧倒的に深くて広い海のすがたを、人はどのように認識してきたのだろう。
船舶による本格的な海洋観測が始まったのは19世紀後半。それから100年あまり、人はさまざまな工夫を凝らし、海洋観測を発展させてきた。
地球科学の諸分野では近年、観測の技術革新がつづいている。エレクトロニクス技術やコンピュータ技術、通信技術の飛躍的進歩とあいまって、新たな観測手法が開発されている。
海洋分野では、無人の潜水ブイや水中グライダー、沿岸に据えた海洋レーダなどにより、これまでにない知見が得られつつある。人工衛星からの海洋観測は、大洋の状況を「均質にはかる」ことを可能にした。多種多様な観測データが得られ、海洋の動態についての認識が刷新されつつある。
観測における技術革新はどうじに、莫大な量のデータをもたらした。従来の解析手法ではまったく手におえないほどのデータ量だが、それを克服したのがコンピュータの飛躍的な進歩である。1940年代に最初のコンピュータが生まれて以降約70年のあいだに、演算処理速度は10年で2桁ちかい割合で高速化しつづけている。莫大なデータを解析することで、時々刻々と変動する海のすがたを浮かびあがらせることが可能になった。
コンピュータの飛躍的な進歩は、われわれの「海を知る営み」をも激変させている。かつては紙と鉛筆が唯一の理論的手段だったが、スーパーコンピュータのなかに海の模型をつくり数値実験をくり返すことで、現象の本質を理解できるようになってきた。また、数か月先の海洋のようすを予報できるようになりつつある。「海を知る営み」には、知的興味を満たす基礎学術のみならず、社会の役にたつ応用科学技術としてのはたらきもある。
海は気象や気候とも深くかかわっている。日変化から気候変動まで、海陸風から大陸海洋間のモンスーンまで、多重の時間空間スケールで、影響を及ぼしあっている。気候システムのなかにおいて海は、エネルギーを蓄積し輸送する媒体であるとともに、大気運動のエネルギー源として、あるいは水蒸気の補給源としても重要な役割を担っている。
いっぽうで海は、ときに過酷なすがたを示すこともある。プレート境界での巨大地震が大きな津波を発生させることがある。2011年3月の東北地方太平洋沖地震の折には、深海底から電離圏におよぶ先端的な地球物理学的観測によって、津波の多様なすがたがはじめてあきらかになった。「地震の巣」を探る海洋底掘削では、プレート境界断層からの岩石サンプルが採取され、地震時の摩擦状況の推定がはじまっている。
この分野でもまた、スーパーコンピュータを駆使して、プレート境界巨大地震サイクルや津波伝播に関するシミュレーションが進められている。
京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻地球物理学分野 余田成男
第3部
生命のゆりかご
海にはいろいろな動物が生まれ育っている。動物だけでなく、微小なプランクトンやコンブ、ワカメなどの植物も同様。つまり、海は生命のゆりかごである。なかでも、もっとも身近な海の生きものといえば、日々の食卓に欠かせない魚や貝だろうか。はたまた水族館で私たちを楽しませてくれるイルカやオットセイだろうか。ヒトは古来、海から生きるために必要な食料として多くの魚介類をありがたい幸として得てきた。海には魚や貝だけなく、イルカやクジラなどの哺乳類、ウミガメやウミヘビなどの爬虫類などさまざまな動物が生活している。これらの海の動物を興味深く観察するために、研究者はさまざまな方法を生みだしてきた。第3部では海の動物を観察する多様な手法を紹介するとともに、地道な調査によって得られた驚くべき最新の研究成果を紹介しよう。
まずは最新の電子通信技術をもちいたバイオロギングとバイオテレメトリだ。大海原を自由に泳ぎまわるウミガメや魚類、そしてジュゴンなど、従来の観察方法では見ることができなかった彼らの生態をつまびらかにすることができる。とくに注目すべき点は動物の目線で彼らが生活している環境をあきらかにできること。この手法は日本の研究者が世界にさきがけて開発してきた。3-1では、その最新技術のレポートを失敗談とともにお届けしよう。
3-2で紹介するのは、海の動物の心にせまる研究だ。イルカは海に生きる哺乳動物であり、彼らはわれわれヒト同様に個性をもち、社会生活を営んでいる。これらは研究者の緻密な観察によってあきらかにされてきた。一見、違いなどないようなイルカたち。しかし、丹念な観察と映像解析からそれぞれの個体を識別することが可能である。また、ヒトと同じように彼らにも右利き・左利きがある。イルカたちがお互いにどのような関係を築き上げているのかを解明することも可能だ。そして驚くことに、魚にも心があり、怒ったり喜んだりするのだ。極めつけは魚の脳とDHAとの関係!
登場する研究者は、フィールド調査を得意とする研究者たちである。日本国内、そして世界中の秘境に出かけ、魚、イルカ、ウミガメ、ジュゴンなどを直接観察し、そして発信機やデータロガーを駆使してデータを得る。しかし、フィールドに出てばかりではない。安定同位体比分析、ホルモン分析、さらにはDNA分析など、高価で高度な分析装置を駆使した研究も彼らの得意分野だ。
安定同位体比を調べることで魚やその他の動物の「食う・食われる」の関係を調べたり、性ホルモンを調べることで希少な動物の水族館での繁殖を成功させたりすることが可能となる。またDNA分析から日本沿岸に来遊するウミガメの起源を探り、ウミヘビの適応進化をあきらかにすることもできる。体力はもちろんのこと、緻密な思考も必要とされる研究なのだ。
京都大学フィールド科学教育研究センター 荒井修亮
第4部
海と人の営み
海には多様な顔があり、大きな生産のひろがりを私たちに与えてきた。私たちは陸に生きる生物である。海との接点は海岸線に集約される。ひとくちに海岸線といっても、その姿は多様である。岩石海岸、礫浜、砂浜、泥、干潟……。海水と風の営力がかたちづくる自然の妙である。しかも海岸線の位置は、時代とともに変化している。
第4部では、海岸線に焦点をしぼり、人と海との交流の例を紹介する。なかでも、京都大学の研究者たちが永年にわたり関与してきた素材を中心に構成し、人の営みとのかかわりの深い最終氷期以降の日本を描像してみる。
地球史的には、現在は第四紀完新世である。第四紀は、10万年単位で氷期・間氷期をくり返す時代で、現在は後氷期とよばれる間氷期にあたる。ひとつ前の氷期は最終氷期とよばれ、その最盛期は約2万年前とされている。
当時の海面は現在よりも120mほど低く、海岸線ははるか沖に後退していた。日本列島の海と人の営みは、縄文時代の海面上昇による海岸線と対応しつつ、海岸付近で展開されてきた。その証拠は、貝塚などの遺跡として数多く残されている。
4-1節では、日本をとりまく三つの海域──日本海(対馬暖流)、太平洋(黒潮)、瀬戸内海に着目し、海と人の営みを一つずつ紹介する。
石川県能登半島の富山湾に面した「真脇遺跡」は、縄文時代のイルカの骨などが密集して産出することで知られる。「瀬戸遺跡」は、太平洋に面した和歌山県白浜の瀬戸臨海に位置する。太平洋の荒波がつくりだした海浜砂と砂丘砂の地形上に発達した人の営みや、黒潮からの贈りものを紹介する。瀬戸内海との関係では、大分県の「姫島」と「横尾貝塚」に注目する。姫島産の黒曜石は西南日本の各地にひろがるが、内海での物品輸送の例として、横尾貝塚との関係をとりあげる。
4-2節では、人間による日本列島の海岸域の大規模利活用の現代の象徴として、関西国際空港の計画をとりあげる。地球科学的・工学的な視点で、埋め立てによる空港建設を考察し、海域に陸域をひろげるようとする人類の叡智と、それにともなうさまざまな課題を紹介する。
京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設 竹村惠二
京都大学総合博物館企画展「海」
本書は京都大学総合博物館企画展「海」の公式ガイドブックです
本書は平成25年度の京都大学総合博物館企画展「海」の制作に参加した京都大学の教員や大学院生が中心となって執筆しました。本書を手にもって展示をご覧いただければ、理解がいっそう深まることでしょう。
企画展の概要
開催機関:2013年7月31日~2013年12月1日
開館時間:9:30~16:30(入館は16:00まで)
休館日:月曜日、火曜日(平日・祝日にかかわらず)
観覧料:一般 400円/高校・大学生 300円/小・中学生 200円
推薦のことば
モノ語る京都大学の叡知
京都大学総合博物館 館長 大野照文
本書を読めば、京都大学の研究成果を中心に、海についての最新の知識が得られます。山に囲まれた古都に位置する京都大学。意外なことですが、海を活発に研究する人たちが大勢います。海の底の岩を調べる人たちがいます。海の水の流れを最新の機器で観測・分析する人たちがいて、美しい渦巻き模様を描きながら流れる海流を見つけています。地球が自転していなかったら、あるいは自転速度がもっと速かったら海流はどうなるのか、大胆な発想でコンピュータを使って計算する人たちもいます。
海の生き物の何十億年の歴史について、化石をもとに調べる人たちがいます。あるいは、小さな動物にも取り付けられる記録装置を開発し、これまで謎だった魚やウミガメ、海のほ乳類の生態をどんどん解明する人たちもいます。さらに、海と関わる人の暮らしについても、縄文時代の製塩遺跡の発掘から、関西新空港の建設のための地盤調査まで、また津波などの災害についてなど、さまざまな視点から研究している人たちがいます。
本書は、海にこだわって研究している京都大学の人たちが、みなさんに海を知ってもらうためにつくりました。本書を読むことで、大学での研究の面しろさも垣間見ることができます。これから志望を決めようとする高校生諸君、あるいは研究分野を決めようとする大学生諸君にとってさまざまな示唆にあふれている本書をお勧めします。そのなかから、次の世代の海の研究をめざす人たちが生まれてくれることも、狙いの一つです。
〈はじめに〉にかえて
自然科学の深淵の世界に熱いまなざしを
京都大学総合博物館平成25年度企画展「海」実行委員長
京都大学 教育担当理事 淡路敏之
総合研究型大学である京都大学では、科学の広い分野にわたって研究がなされている。本書は、そのなかで海に関係する研究分野の紹介を目的に出版するものである。
海は、「水惑星」といわれる地球のおおきな特徴の一つである。地球表面の3分の2を占めるこの広大な海についての理解には、多様な観点からのアプローチが必要である。たとえば、なぜ地球に海があるのか、このような問いに答えるには、太陽系や地球のはじまりにまでさかのぼって考える必要がある。
ここに総合大学である京都大学の強みが生かせる。理学研究科の地球惑星科学専攻では、小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰った小惑星イトカワの試料の分析も含めて、海の誕生に関わる研究がされている。あるいは、「プレートテクトニクス」という用語はいまや多くの人が知る言葉となっているが、海洋底の岩盤が移動して大陸の下に潜り込む仕組みやその歴史は、海洋底の火成岩や水成岩、それにこれらの岩石が時間をかけて変化して形成される変成岩などに記録されている。京都大学では、これらを対象とする研究も活発に行なっている。
京都大学も開発に貢献している観測機器の最近の急速な発展によって、海についての多くのことが解ってきた。興味深いことに、そういう機器を使った研究は、京都大学では地球物理学や海の生き物を対象にする生態学などの広範な分野にまたがっていて、しかもそれぞれに優れた研究成果をあげている。海洋物理学の分野では、水深2000mから海面までの水温と塩分を約10日ごとに観測するアルゴフロートなどの最新の測器で得られた精密なデータを先進的な方法で解析し、海流などの海の大局的な動態を解明するとともに、未来をより高精細に予測する優れたシミュレーションも行なわれている。
海の生き物の研究では、化石をもとにその形や生態の進化を調べる古生物学の成果はもとより、さまざまな最新の計器や小型ビデオカメラなどを活用して生物を研究する分野も登場している。そのような観測機器を使い、場合によっては発信器を生き物に直接装着して生態を明らかにするバイオロギングという新しい研究分野でも、多くの研究者が活躍している。
私たち人間は、海の多様な恩恵を受けながら、時には災害にも見舞われながら海とともに生きている。そのような海と人とのつながりは、海の幸の利用の方法や交易路としての利用の歴史が、縄文時代にさかのぼって研究されている。関西国際空港の建設など、現代における海の積極的な利活用についても、京都大学では地質学や土木工学の研究者が関わってきた。また、地震や津波など自然の脅威についても、その発生メカニズムなどを中心に、多様な視点からの研究を行なっている。
本書を通じて、読者のみなさんの海についてのイメージをさらに豊かにしていただけば幸いである。また、海とともに生きる人や生き物がどのように海を捉え、また良い関係をもって生きてゆくのか、海の未来について私どもと一緒にお考えいただくきっかけになれば幸いである。
なお、本書は平成25年度の京都大学総合博物館企画展「海」の制作に参加した京都大学の教員や大学院生が中心となって執筆したものである。本書をもって展示を見ていただければ理解がいっそう深まるものと考えるが、執筆の目的はそれだけではない。
それぞれの執筆者の熱意の背景には、学問を志す若い人たちが京都大学の自然科学に対する取り組みの姿勢・視点を理解し、自然科学という深淵の世界に熱いまなざしをむけてもらえればという期待がある。ひいては、そのような優秀な若者たちに京都大学をめざしていただきたいという魂胆があることも記しておきたい。
目次
第1部
海のおいたち
- 1-1 岩石や地層に残る海の記憶
- 1-1-01 太陽系の始まりと地球誕生
- 1-1-02 地球創成期の年代論
- 1-1-03 海の誕生 謎を解く旅のはじまり
- 1-1-04 水が地球を動かす
- 1-1-05 プレートテクトニクスと固体圏をめぐる水
- 1-1-06 マグマを生み出す水
- 1-1-07 希少鉱物に残された海の痕跡
- 1-1-08 同位体で探る「化石海水型温泉水」の起源
- 1-1-09 大自然の摂理を決める含水鉱物の世界
- コラム① 電子顕微鏡で鉱物中の水を見る?!
- 1-1-10 海洋の一生 海洋の誕生から消滅まで
- 1-1-11 日本海の誕生と1600万年前の日本沈没
- 1-1-12 海底谷と海底扇状地の誕生 堆積物は地下資源
- 1-1-13 成長する日本列島とプレート運動
- 1-1-14 古海洋環境の変化を読み解く
京都の地質と海洋プレート層序復元の意義 - 1-2 海、生命、そして地球システム
- 1-2-01 生物がつくる地球の海と大気
- 1-2-02 多細胞動物の出現と地球環境の変動
- 1-2-03 顕生代略史
- 1-2-04 脊椎動物の二次的水棲適応
海から陸への進化、そして舞台はふたたび海へ - 1-2-05 化石が示す古環境
第2部
海のすがた
- 2-1 海をはかる
- 2-1-01 海をはかる技術が海洋学を支えてきた 海洋観測の歴史
- 2-1-02 気候を左右する海洋の流速と物理構造を解明する
海洋観測技術の革新と未来 - 2-1-03 海水の微量成分を調べてわかること
- 2-1-04 宇宙からはかれば、ここまでわかる
- 2-2 海をしる
- 2-2-01 潮の満干と海流 世界有数の海流「黒潮」の不思議
- 2-2-02 地球をめぐる海水の旅 グローバルコンベアーベルト
- 2-2-03 海に流れができるわけ
潮汐、風、熱と淡水が引き起こすしくみ - 2-2-04 地球自転が海におよぼす影響
海は大きな水たまりなんかではない - コラム② 海に隠された縞模様?
- 2-2-05 仮想の「現実」の価値と未来
コンピュータによる数値モデル実験 - 2-2-06 コンピュータの中に海の模型をつくる
データ同化の手法が拓く世界と可能性 - 2-2-07 海の天気予報の現在と将来
データ同化の手法を活用する - 2-3 海と気象・気候
- 2-3-01 海洋と大陸が生みだす気流と気候のダイナミクス
日本の天候と四周の海 - 2-3-02 海は台風のエネルギー源
積乱雲がエンジンでガソリンは海水 - 2-3-03 エルニーニョ・南方振動の構造
大気と海洋の相互作用 - 2-3-04 南極域オゾンホールの発生と海
- 2-3-05 温暖化がもたらす北極域の海氷の急激な減少
気候モデル予測をはるかに越える減少量 - 2-3-06 気候変動の証拠をあつめる
樹木、堆積物、鍾乳石データによる歴史の再構築 - 2-4 津波と地震
- 2-4-01 大変がまねく迷惑 地震が引き起こす津波
- 2-4-02 地震にともなう地殻変動を陸と海から観測する
GPSデータの解析の役割と可能性 - 2-4-03 津波の動きを海底磁力計でみる
「津波ダイナモ効果」の発見とその応用 - 2-4-04 津波が揺り動かす高度300kmのプラズマ
地球電離圏をも含む地球という巨大システム - 2-4-05 雄弁な津波堆積物たち
津波防災・減災にむけての地道な闘い - 2-4-06 深海を掘削して地震を解析する
Japan Trench Fast Drilling Project(JFAST) - 2-4-07 地震サイクルと津波モデル
地震をコンピュータでシミュレーションする
第3部
生命のゆりかご
- 3-1 海の生きものの行動を記録する〈バイオロギング〉
- 3-1-01 動物目線で海の世界をのぞく
マイクロデータロガーの小型化・多様化・高性能化 - 3-1-02 カメカメラでウミガメを観察する
理に適ったアオウミガメの生態 - 3-1-03 ジャイロデータロガーが捉える生きものたちの未知の世界
3次元空間での生物行動を数値で捉える - 3-1-04 クロマグロにデータロガーを装着する
試行錯誤の実験からなにを得るか - 3-2 海の生きものを追跡する〈バイオテレメトリ〉
- 3-2-01 大洋を自在に泳ぐ魚に発信機を装着する
バイオテレメトリとはなにか - 3-2-02 ダンゴウオの汚名返上
- 3-2-03 日本のアオウミガメはどこから来たのか
海洋動物の系統地理・DNA塩基配列から探る - 3-2-04 人魚の歌声に魅了されて 鳴き声でジュゴンを探す
- 3-3 行動観察
- 3-3-01 個体識別と行動観察に挑戦しませんか
生きものの暮らしを知る第一歩 - 3-3-02 魚類のこころと行動 魚類心理学入門
- 3-3-03 イルカは左利き? 野生イルカの行動研究からみえるもの
- 3-3-04 おしゃべりなイルカと無口なイルカ
イルカの音の世界と群れ社会 - 3-4 さまざまな分析技術
- 3-4-01 魚類の生態を読み解く新たなカギ
棲息していた環境情報を伝える安定同位対比 - コラム③ 同位体比の表記方法
- 3-4-02 種の保存を目的として動物の繁殖にヒトが手を貸す時代
セイウチの性ホルモン分析と腟細胞診 - 3-4-03 海洋環境への適応進化をウミヘビに探る
- 3-4-04 生きものたちのこころを分子のことばであらわしたい
動物の性格を遺伝子から知る
第4部
海と人の営み
- 4-1 遺跡からよみとく先人の叡智
- 4-1-01 最終氷期から縄文時代の日本海と真脇遺跡
- 4-1-02 イルカの骨が語る縄文時代の人と海
海岸線の歴史的変遷と人の営み - 4-1-03 最終氷期から縄文時代の西部太平洋と瀬戸遺跡
- 4-1-04 海浜砂と砂丘砂 海底火山噴火などの痕跡も流れ着く
- 4-1-05 瀬戸遺跡が語る人の営み
黒潮のつくる地形と植生、そして製塩土器と人骨 - 4-1-06 瀬戸内海が川の流れる谷間だったころ
最終氷期から縄文時代の瀬戸内海地域の変遷 - 4-1-07 内海に浮かぶ黒曜石の島、姫島
- 4-1-08 横尾貝塚 中部九州交易の拠点、縄文海進の海岸利用
- 4-2 関西国際空港に結集する現代人の叡智
- 4-2-01 関西国際空港の誕生
- 4-2-02 柔らかい粘土層を埋め立てる先進の技術と智恵
平坦で不同沈下しない海岸陸地をいかにつくるか - 4-2-03 大深度ボーリングのデータという証人
関空地底の新第三紀鮮新世から現代までの地層 - 4-2-04 埋立の地盤沈下はなぜ起こるのか
自然のしくみと人間の挑戦 - 4-2-05 沈下の観測と地盤モデル、沈下予測
- 4-2-06 空港島の不同沈下と水災害対策
空港の安全と安心の確保 - 4-2-07 空港島の周辺環境 どのように維持・管理されているか