WAKUWAKUときめきサイエンスシリーズ

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〈WAKUWAKUときめきサイエンス〉のシリーズは、シリーズ名が示すように本書をとおして「心ときめく体験」をしてほしいという願いを込めています。

ある碩学が、次のような意味の言葉を述べられたことがあります。「1本の新聞記事は10本の論文よりも有益である。1冊の教科書を書くことは100本の論文に価する」。学問の成果を社会に還元する、あるいは次代を担う人たちに継承することの重要性を説いた言葉です。

このシリーズは、新聞記事ほど多くの読者の眼にふれることはないし、教科書ほど精査した内容を体系だててまとめたものでもありません。それでも、大きな主題のもとに多くの執筆者が多彩な視点で自らの経験にもとづいて、科学することの楽しさを伝えようと努めています。

知的な刺激に心を震わせながらページをめくり、ひいては学問・研究を志した著者自らが、その感動を次代の若い人たちに受け渡そうとしています。それぞれの生命体がそなえる神秘ともいえる力への感銘、未知の世界に心を解放する喜び、ものを見る・考える新たな視点を、この時代をともに生きる仲間として共有したいものだと願ってのことです。

WAKUWAKUときめきサイエンスシリーズ6
バイオロギング2
動物たちの知られざる世界を探る

  • 日本バイオロギング研究会 編
  • 発行 京都通信社
  • 装丁 高木美穂
  • A5判 224ページ
  • 定価 2,200円+税
  • ISBN 978-4-903473-55-0
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私たち日本バイオロギング研究会が初めての本、『バイオロギング──最新科学で解明する動物生態学』を出版したのが2009年9月。年月が経つのははやいもので、もう7年も昔のことです。当時、学生や大学院生だった若者たちの多くが、いまでは国内外各地の研究機関や大学で第一線の研究者として活躍しています。最近ではマスコミ、とくにテレビ番組で「動物目線のバイオロギング」として取り上げられる機会が多くなっているので、彼らの姿を目にした方もおられると思います。マスコミに注目されるのは、技術の発達によって、これまで得ることができなかった氷の下の海や大空からの臨場感あふれる動物目線の映像データが得られるようになったことが一因でしょう。

そもそも「バイオロギング(Bio-logging)」はバイオ(生きもの)+ロギング(記録をとる)を組み合わせた和製英語です。わかりやすい英語なので、いまでは世界各国の研究者が専門用語として使っています。しかし、意外にもこれを日本語で正確に言い表す適当な単語が見当たりません。逆に言えば、適当な言葉がなかったのでわざわざ和製英語をつくらざるをえなかったともいえますが……。

強いて訳せば、「超小型記録計・発信機装着動物行動記録」ということになるでしょうか。その実態については、本文を読んでいただくことにしましょう。この7年間でバイオロギングによって明らかになった動物たちの意外な日常生活のようすと、その動物たちをフィールドで追いかけている私たちの仲間の奮闘ぶりをお楽しみください。

荒井修亮 「巻頭言」から詳細はこちらから

にぎやかな田んぼ

WAKUWAKUときめきサイエンスシリーズ5
にぎやかな田んぼ
イナゴが跳ね、鳥は舞い、魚の泳ぐ小宇宙

  • 夏原由博 編著
  • 発行 京都通信社
  • 装丁 高木美穂
  • A5判 248ページ
  • 定価 2,500円+税
  • ISBN 978-4-903473-54-3
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赤とんぼがいなくなる。そんな兆(きざし)があらわれている。トノサマガエルやメダカは、すでに絶滅危惧種とされてしまった。長く田んぼで暮らしてきた生きものたちだ。

日本の田んぼは、5,000種を超える生きものに生きる場所を提供してきた。田んぼが支えてきたのは、生きものだけではない。雨水を貯えることで下流の洪水を緩和し、あるいはうつくしい景観を提供するなど、多面的な機能をそなえる。その経済効果は年間8兆円に達するともいわれている。

生きものたちが田んぼから失われつつあることは、人間社会の未来への警告でもある。赤とんぼが減少している原因は、「環境に優しいから」と使われはじめた農薬が、卵からかえったばかりのヤゴには優しくなかったことが原因だ。圃場整備にともなう冬期の乾田化も、産卵場所の減少や越冬卵の死滅を招いている。生産の拡大と環境保全のジレンマという日本の農業の古くからの課題の象徴であるともいえる。

田んぼと農村は、食料を生産するだけの場所ではない。人が生まれ育ち、暮らす場所でもある。食料自給率の低下とともに寂れてよいというものではない。田んぼの生きものたちは、たとえ経済的な価値を産まなくても、地域をささえる役割を発揮している。

農業は食料生産を担う産業であり、農家の経営が成りたたなければならない。大規模化、効率化は必須であろう。しかし、畦のない田んぼやコンクリート張りの深い水路は、生きものの生きる場所を奪う。近代化した田んぼも、生きものたちに配慮することは可能であるはずだ。田んぼは工場ではない。田んぼ自体が生態系の一部である。周辺の生態系と調和した工夫が必要であり、地域と田んぼの生態系についての詳しい知識が蓄積されなければならない。本書は、その一助となることを願っている。

夏原由博 「はじめに」から抜粋詳細はこちらから

海は百面相

WAKUWAKUときめきサイエンスシリーズ4
海は百面相

  • 京都大学総合博物館
    企画展「海」実行委員会 編
  • 発行 京都通信社
  • 装丁 高木美穂
  • A5判 248ページ
  • 定価 2,200円+税
  • ISBN 978-4-903473-53-6
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総合研究型大学である京都大学では、科学の広い分野にわたって研究がなされている。本書は、そのなかで海に関係する研究分野の紹介を目的に出版するものである。

海は、「水惑星」といわれる地球のおおきな特徴の一つである。地球表面の33分の22を占めるこの広大な海についての理解には、多様な観点からのアプローチが必要である。たとえば、なぜ地球に海があるのか、このような問いに答えるには、太陽系や地球のはじまりにまでさかのぼって考える必要がある。

本書を通じて、読者のみなさんの海についてのイメージをさらに豊かにしていただけば幸いである。また、海とともに生きる人や生き物がどのように海を捉え、また良い関係をもって生きてゆくのか、海の未来について私どもと一緒にお考えいただくきっかけになれば幸いである。

なお、本書は平成25年度の京都大学総合博物館企画展「海」の制作に参加した京都大学の教員や大学院生が中心となって執筆したものである。本書をもって展示を見ていただければ理解がいっそう深まるものと考えるが、執筆の目的はそれだけではない。

それぞれの執筆者の熱意の背景には、学問を志す若い人たちが京都大学の自然科学に対する取り組みの姿勢・視点を理解し、自然科学という深淵の世界に熱いまなざしをむけてもらえればという期待がある。ひいては、そのような優秀な若者たちに京都大学をめざしていただきたいという魂胆があることも記しておきたい。

淡路敏之 「〈はじめに〉にかえて」から抜粋詳細はこちらから

日本のサル学のあした 霊長類研究という「人間学」の可能性

WAKUWAKUときめきサイエンスシリーズ3
日本のサル学のあした
霊長類研究という「人間学」の可能性

  • 中川尚史+友永雅己+山極寿一 編
  • 発行 京都通信社
  • 装丁 高木美穂
  • A5判 240ページ
  • 定価 2,000円+税
  • ISBN 978-4-903473-52-9
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日本のサル学が産声をあげたのは1948年。宮崎県幸島に生息する野生ニホンザルの社会学的研究からスタートした。生まれて60有余年、ひとりの人間でいえば還暦も過ぎ、老年期に差し掛かっているわけだが、幸い人間は世代を超えて知識の継承が可能な生きものである。サル学がここまで対象種や学問領域の幅を広げ、新しい調査研究機材を導入してこられたのも、その能力の賜物といえるだろう。

日本のサル学の黎明期を支えた諸先生方から受けた薫陶のひとつに、「専門家に向けた論文だけでなく、一般の方がたに向けた本を書く」というのがある。学問は専門家だけのものであってはならず、広く一般社会に還元されるべきものであるし、そうすることでサル学の裾野も広がり最終的には後継者の育成にもなるという、先見の明に長けた薫陶だったのだと思う。われわれはその著作によってサル学に誘われた。こうして後継者が育っていくことを体験していたから、それぞれが一般向けの書を通じてサル学の成果を発信してきたつもりだった。

しかしふり返ってみれば、これらの本には大きく欠けているところがあることに気づいた。いま、まさに研究の最前線にいる若手の研究者が自らの言葉で自らの研究、さらにはそこに至るまでの経緯や苦楽などを綴った本はとても少ないのだ。ましてやいまや総合科学となったサル学のさまざまな側面にふれることもできる若手中心の本に至っては皆無である。彼ら若手研究者のさらなる後継者を育てるためには、彼らによるサル学への誘いこそが必要なのではないかという結論に達し、本書を企画するに至った。

中川尚史、友永雅己、山極寿一 「序言」から抜粋詳細はこちらから

景観の生態史観 攪乱が再生する豊かな大地

WAKUWAKUときめきサイエンスシリーズ2
景観の生態史観 攪乱が再生する豊かな大地

  • 森本幸裕 編
  • 発行 京都通信社
  • 装丁 高木美穂
  • A5判 224ページ
  • 定価 2,000円+税
  • ISBN 978-4-903473-51-2
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人類の科学も技術も経済も年々「発展」しているはずなのに、なぜ生物多様性の危機は深化するばかりなのだろうか。

本書はその課題を克服する鍵をふたつ意図している。ひとつは、「景観」と「生態」を身近なレベルから地球レベルまで、人間の営みとともに統合すること。国交省と農水省と環境省を文化庁が統合するようなものとでもいおうか。カエルの生態の専門家でありながら水文学や農村計画や環境経済学の専門家であることは難しいが、これを総体として取り組もうというのが「景観生態学」の醍醐味である。

もうひとつは、既に縦割り行政や分化した専門学術に入り込みかけている大学院レベルの人だけでなく、いやむしろ社会の様々な分野で今後活躍する高校生に「景観生態学」の見方を身につけてもらうことだ。その見方とは、「景観」も「生態」もエネルギーや物質の流れや攪乱、つまりプロセスがあることが生きている証拠であること。

景観は、大陸移動のような超長期の大きな動きから、日々の気象やチョウの羽ばたきのような小さな動きまでが重層的に折り重なって形成されている。すばらしい景観も、絶滅危惧種も単に立ち入り禁止で「保護」することでは守れない。洪水や山火事などの攪乱は、短期的に見ると災いであっても、もうひとつ大きなレベルの空間と時間のスケールから見ると、次世代の再生を促す活力でもあるわけだ。

人間が生活するうえで避けられない開発と、生活の基盤でもある生物多様性の保全・再生のトレードオフに、どう折り合いをつけるのか。『景観の生態史観』でその手掛かりとなる原理を探り、多岐にわたる現場での解を考えるのに役だててほしい。

森本幸裕 「はじめに」から抜粋詳細はこちらから

バイオロギング 最新科学で解明する動物生態学

WAKUWAKUときめきサイエンスシリーズ1
バイオロギング 最新科学で解明する動物生態学

  • 日本バイオロギング研究会 編
  • 発行 京都通信社
  • 装丁 高木美穂
  • A5判 224ページ
  • 定価 1,905円+税(廃版)

「バイオロギング(Bio-logging)」は、バイオ(生き物)+ロギング(記録をとる)を組み合わせた和製英語。日本の研究者が考えた英語ですが、今日では、世界中の研究者間で正式な学術用語として定着しつつあります。

生き物たちに記録計を取り付けて、いろいろなデータを取るバイオロギングという手法を使って、日本バイオロギング研究会の会員たちは、おもに水中に生活する動物たちを研究しています。研究成果は、学術雑誌に投稿されたのち、論文として出版されます。

しかし、その論文の多くは英語で書かれるため、なかなか一般の方が目にする機会がありません。研究会では、学術成果の内容を広く皆さんに知っていただきたいと考え、このたびの出版を計画しました。

本書で報告されている動物たちの不思議な行動は、バイオロギングの手法によって初めて明らかにされたもので、この数年間に内外の学術雑誌で論文として発表された研究成果の一端です。難解な専門用語はなるべく使わずに、わかりやすく書くことを心がけました。

荒井修亮 「この本を手に取られたみなさんに」から抜粋詳細はこちらから